2025/04/21 01:12


アントラージュ効果とは、大麻に含まれる複数の成分(カンナビノイド、テルペン、フラボノイドなど)が一緒に作用することで単体の成分よりも強くバランスの取れた効果を発揮するという現象です。

この考え方は、1998年にイスラエルの大麻研究者ラファエル・メシュラム博士たちによって提唱されました。*1


例えばCBD単体で使用するよりもTHCが含まれた方がより高い効果を示します。その仕組みはCBD、THC、テルペンなどがそれぞれ別のルート(回路)で体に作用します。 違う働きをする成分が一緒に使われることでお互いを補い合い効果が高まる―― これが「アントラージュ効果」と言われるものです。 単体よりもチームで働くことで自然な力を最大限に引き出せるのが特徴です。さらにはテルペンやフラボノイドが加わることでその効果はより高くなります。


わかりやすいイメージで言うとCBDやTHC、テルペンは、料理に使う塩・コショウ・ハーブのようなもの。
塩だけでも味はしますが、いろんな調味料が合わさると料理の風味がぐっと深くなり美味しくになるのがアントラージュ効果です。


いくつかの症例をあげて説明します。


1.難治性てんかん

小児の重度てんかん(例:ドラベ症候群)に対し、2016年のイスラエル研究ではCBD単体よりもフルスペクトラム(微量のTHC含む)製剤の方が

より高い発作抑制効果を示しました。*2


発作減少率:

・CBDアイソレート(CBD単体) → 71人中22人(31%)に効果

フルスペクトラム (THCや他のカンナビノイド、テルペンが含まれる)→ 74人中66人(89%)に効果



2. 慢性疼痛・神経障害性疼痛

CBDは抗炎症・鎮痛作用がありますが、THCが加わると痛みの知覚が鈍くなり、鎮痛効果が強まるという報告が多数。

2007年にイギリスで行われた研究では、神経のダメージによって起こる痛みに悩む人たちに、CBDとTHCが両方入った「サティベックス」というスプレーを使ってもらいました。この薬を使ったグループは、使っていないグループに比べて、痛みがはっきりとやわらいだと感じた人が多く、特に夜間の痛みが軽くなり、眠りやすくなったという効果も報告されました。*3


3.不安障害・PTSD

CBDは不安を緩和する作用がありますが、THCが微量加わることで、より深いリラックス感や情動処理の補助になるケースがある。

PTSDの人は、悪夢やフラッシュバックに悩まされることがあります。CBDだけでは、こうした症状を十分にやわらげられないこともあります。ですが、CBDとTHCを同じくらい含んだオイルを使うと、症状がかなり軽くなったという報告があります。これは、THCが「悪夢を見やすい眠り(REM睡眠)」をおさえる働きがあるためと考えられています。


このようにCBD単体で使用するよりもTHCや他のカンナビノイドさらにはテルペンやフラボノイドが含まれることでより高い効果を示すことが判っています。

現在、使用されている医薬品の多くは石油化学由来の合成薬であり長期間の使用の副作用の蓄積によっては新たな疾患の引き金となることが知られています。

一方で、大麻由来のカンナビノイドやテルペン類は自然界に存在する植物性成分であり、副作用が比較的少なく依存性も極めて低いことがさまざまな研究によって確認されています。こうした植物由来の治療法は古代から伝統的な自然療法として用いられてきた歴史があり、現代においてもその有用性が再評価されています。


これからの時代は、副作用のリスクが少なく身体に負担をかけない自然由来の治療が見直され、医学・医療の新しい選択肢として注目されていくと考えられます。*4*5


Reference