2025/05/14 21:17
ペンシルベニア州ピッツバーグ — 雑誌『Pain』に掲載されたデータによると、慢性疼痛を抱える患者は処方鎮痛薬よりも大麻に対して好意的に反応する可能性が高いことが示されました。
ピッツバーグ大学に所属する研究者らは、医療用大麻の使用が認可された慢性疼痛患者440人と従来の鎮痛薬が処方された患者8,114人を対象に治療結果を比較しました。
その結果大麻治療群の方がわずかに高い割合で臨床的に意味のある痛みの改善を経験していたことが報告されました。また大麻とオピオイドの両方を使用していた患者は、オピオイドのみを使用していた患者よりも、時間とともにオピオイドの使用量を減らす傾向が強いことも示されました。研究者らは「我々の結果は、大麻がオピオイド離脱を補助する併用薬として利用される可能性を示している」と述べています。
研究の著者らは、次のように結論づけています:
「まとめると、我々は医療用大麻が処方薬治療よりも慢性疼痛に対して比較的高い効果を示したことを発見しました。大麻治療群の方が反応する確率は2.6倍高く、肯定的な反応が得られる予測確率も2倍高いことが分かりました。
ただし、医療用大麻が他の集団においてもより効果的であるとは言い切れません。なぜなら、今回は(類似してはいるものの)2つの異なる集団を比較したに過ぎないからです。
コントロール群(34.9%)と大麻群(38.6%)の3ヶ月後の反応率が非常に近かったため、より保守的な解釈としては、医療用大麻は少なくとも処方薬と同程度の効果を持つと見るのが妥当でしょう。」
また『Journal of the American Medical Association(JAMA:米国医師会雑誌)』に掲載された別のデータによれば、慢性疼痛患者の約3人に1人が大麻を鎮痛剤として使用しており、多くの患者がオピオイドの代わりとして使用していると報告されています。
🔻オピオイドも大麻も長期使用により耐性がつき、使用量が増え依存や過剰摂取が問題となっています。しかも減薬に失敗すると吐き気・不安・発汗などの離脱に苦しむことになります。耐性がつけば患者さんはオピオイドの量が増え体にも負担がかかり(呼吸抑制,頑固な便秘や腸閉塞,肝臓・腎臓への負担,性欲減退・無月経・骨密度の低下,認知機能の低下・うつ症状・不安感の増加と多岐にわたります)、痛みもひかない状態となります。これはとても辛いもので耐え難い苦しみです。この記事ではオピオイドと大麻をうまく併用して患者さんの痛みを効果的に取り除いたり、オピオイドの耐性問題を解決出来る素晴らしいものだと思います。この研究はオピオイド依存の悪循環に苦しむ患者さんに対し、医療大麻というもう一つの道を提示する重要な一歩であると言えるでしょう。患者さんのQOL(生活の質)を守るための新たな選択肢として今後更に検証と実用化が進むことを期待したいです。
Reference:
NORML. (2025年2月6日). Study: Cannabis More Effective Than Prescribed Analgesics for Patients With Chronic Pain.Retrieved from https://norml.org/news/2025/02/06/study-cannabis-more-effective-than-prescribed-analgesics-for-patients-with-chronic-pain/