2025/05/28 23:11

カナダのレスブリッジ大学とマギル大学の研究チームが新しい研究結果を発表しました。毎日CBD(カンナビジオール)を摂り続けることで、年齢とともに進む記憶力の低下を防ぐ効果があることがわかりました。しかもCBDは運動機能に悪い影響を与えたり、副作用を引き起こしたりすることもありませんでした。この研究結果は、「Frontiers in Aging Neuroscience」という専門誌に掲載されています。


研究チームは年齢とともに記憶力が落ちる仕組みを調べるために中年相当のマウスを使って実験を行いました。マウスは14か月齢(人間でいうと中年くらい)から21か月齢(高齢期)までの約7か月間、毎日CBDを口から摂取しました。その後、マウスたちの記憶力や行動をテストして、CBDの効果を確認しました。


結果としてCBDを摂取したマウスは記憶力が大きく改善していることがわかりました。特に「新しい物体認識テスト」では、CBDを摂ったマウスは新しい物に興味を示し、よく覚えている様子が見られました。また、「モリス水迷路テスト」という水の中にある隠されたプラットフォームを覚える課題でも、CBDを摂ったマウスはプラットフォームの位置を正確に覚えており、空間記憶の力がアップしていました。さらにCBDは運動能力やバランス感覚には影響を与えず、安全性も確認されました。


この研究では、CBDが脳にどんな変化をもたらしたのかも詳しく調べられました。長期間CBDを飲み続けたマウスでは、記憶に関わる「海馬」という部分で、炎症のサインが減っていることがわかりました。さらに前頭前皮質という脳の別の部分でも免疫を担当する細胞の活動が落ち着き、脳全体の炎症が減っていることが確認されました。最近の研究でも、脳の炎症が年齢による物忘れや記憶力の低下の原因のひとつだと言われており、今回の結果はその考えを裏付ける内容となっています。ただし、CBDは脳の全ての働きに効果があったわけではありません。恐怖記憶(怖い体験を覚えている力)や、海馬の大きさ、脳内の特定の神経細胞の数、運動の協調性などには特に変化が見られませんでした。これにより、CBDは特に「記憶力」と「脳の炎症」に関わる部分に良い影響を与える可能性が高いと考えられます。


研究チームは、「今回の結果はCBDが脳の健康を保つのに役立つ可能性を示していますが、まだ人間に対する効果ははっきりしていません」と話しています。これからの研究で人間にも同じような効果が確認されれば、CBDは年齢とともに進む記憶力の低下を防ぎ、脳の健康を保つためのサプリメントとして期待されます


このように、CBDはただ気持ちをリラックスさせるだけでなく、年をとっても脳を元気に保つために役立つ成分であることが、少しずつ科学的にわかってきました。今後の研究が進めば、CBDが物忘れや認知症予防のためのサプリメントとして活躍する日が来るかもしれません。

Reference:

Martinelli, A. (2025, May 28). "Study: Long-Term CBD Treatment Improves Memory and Reduces Brain Inflammation." The Marijuana Herald.

Available at: https://themarijuanaherald.com/2025/05/study-long-term-cbd-treatment-improves-memory-and-reduces-brain-inflammation/