2025/09/19 01:20
トリプルネガティブ乳がんとは?
乳がんにはいくつかの種類がありますが、その中でもトリプルネガティブ乳がん(TNBC)は特に治療が難しいタイプです。
ホルモン療法や分子標的薬が効かず、現状では化学療法が中心。そのため副作用も大きく、患者さんへの負担は計り知れません。
CBDに期待される抗がん作用
CBD(カンナビジオール)は大麻由来の成分のひとつで安全性が高く依存性がないことで知られています。近年の研究でCBDにはがん細胞の増殖を抑制したり細胞死(アポトーシス)を誘導する可能性が報告され、がん治療への応用が期待されています。
ただし、CBDには弱点があります。
水に溶けにくい
体内で広がりすぎてしまう(非特異的分布)
このため、がん細胞にピンポイントで届ける仕組みが必要でした。
葉酸ナノ粒子で「がん細胞を狙い撃ち」
研究者が開発したのは、葉酸で修飾したキトサン・ナノ粒子(FA-CS)にCBDを包み込む方法です。
ここでカギとなるのが「葉酸受容体」。
がん細胞は“栄養を爆食い”する性質を持ち、DNA合成に必要な葉酸を大量に取り込むため、表面に異常に多くの葉酸受容体を持っています。 ※正常細胞には葉酸受容体はごくわずかしか存在しない
つまり、葉酸を“目印”としてナノ粒子に付けておくと、がん細胞は「葉酸だ!」と勘違いして積極的に取り込みます。この差を利用することで、CBDをのせたナノ粒子は正常細胞ではなく、がん細胞に優先的に届くのです。
実験で得られた成果
細胞実験(in vitro)
CBDを包んだナノ粒子は、がん細胞に効率よく取り込まれた
活性酸素(ROS)を増加させ、細胞死を促進
がん細胞の移動を抑制(転移リスクの低下に寄与)
マウス実験(in vivo)
腫瘍への集中的な作用が見られ、腫瘍抑制率は68%
全身への毒性はほとんどなく、安全性も確認
今後の展望
この研究はまだ臨床試験前の段階ですが、結果は非常に有望です。
CBDを「がん治療薬」として応用できる可能性
従来の治療に比べ、副作用を軽減しながら高い効果を期待できる
将来的にはTNBC以外のがん治療にも応用できるかもしれない
🔻乳がんの中で厄介な種類のTNBCの特性を分析しCBDをナノ粒子に包み(CBDカプセル)葉酸をCBDぶら下げ“目印”にすることでがん細胞に効率的にやっつけるという方法ですが、これは今後いろんな癌治療にも応用できそうな研究ですね。トリプルネガティブ乳がん(TNBC)は化学治療が中心であることから患者さんの負担は大きく精神的、肉体的にとても辛い治療方法です。しかしながら今回の研究が進めば辛い思いをせずとも治療ができるようになり、働きながらでもがん治療が可能となりそうですね。ナノテクノロジーとCBDの融合は今後のがん治療を大きく変える可能性を秘めています。
Reference:
Liu, J., Wang, Y., Xie, L., Xiao, S., Zhang, X., Li, W., Peng, Y., Cai, R., Qu, S., & Huang, C. (2025). Folate-chitosan nanoparticle delivery of cannabidiol for targeted triple-negative breast cancer therapy. Journal of Pharmacy and Pharmacology. Advance online publication. https://doi.org/10.1093/jpp/rgaf072