2025/09/24 00:00
カンナビス耐性の科学:なぜ起こるのか?リセットする方法とは
カンナビス(大麻)は、ウェルネスやリラクゼーションの一部として世界的に広がり続けています。しかし、使い続けるうちに「前より効かなくなった」「もっと量を摂らないと同じ効果を感じられない」と思ったことはありませんか?
これは**カンナビス耐性(Cannabis Tolerance)と呼ばれる現象で、私たちの脳内化学反応やエンドカンナビノイドシステム(ECS)**が深く関わっています。
この記事では、
なぜ耐性が生まれるのか
脳やECSにどのような影響を与えるのか
自然に耐性をリセットする方法
をわかりやすく解説します。
カンナビス耐性とは?
カンナビス耐性とは、**THC(テトラヒドロカンナビノール)**の効果が繰り返し使用によって弱まってしまう現象です。つまり、少量で感じていた効果が、だんだんと同じ量では得られなくなるのです。
科学的にも裏付けがあり、2016年に発表されたBiological Psychiatryの研究では、常用者は脳内のCB1受容体の数や反応が低下していることが確認されました。特に「報酬・感情・認知」に関わる領域で顕著です。
耐性とエンドカンナビノイドシステム(ECS)の関係
ECS(エンドカンナビノイドシステム)は、気分・食欲・睡眠・痛み・記憶などを調整する人体の重要なシステムです。
THCはこのECSの中で特にCB1受容体に結合して作用します。しかし、長期的にTHCを摂取し続けると、体はバランス(ホメオスタシス)を取ろうとして、受容体を減らしたり、反応を鈍くしたりします。これが耐性の正体です。
その結果、以前と同じ量のTHCを摂っても「多幸感」「リラックス」「鎮痛効果」が弱くなってしまうのです。
耐性がついたサイン
以前よりも多くの量を必要とする
効果(リラックス、快楽、鎮痛、睡眠改善)が感じにくい
効き目の持続時間が短くなった
これらを感じたら、耐性が進んでいる可能性があります。
耐性はどれくらいでつく?
個人差はありますが、数日〜2週間程度の連続使用で耐性が形成され始めます。特に高THC製品を毎日使う人は要注意です。
遺伝子や代謝の違い
摂取方法(喫煙、ベイプ、エディブルなど)
使用量や頻度
これらの要因で耐性のスピードは大きく変わります。
耐性はリセットできる?
結論から言うと、リセット可能です。
もっとも有効な方法は**T-Break(Tolerance Break/耐性リセット休止)**です。
2021年のMolecular Psychiatryの研究によると、28日間の禁用でCB1受容体は完全に回復することが示されています。短期間でも効果を感じる人は多く、48〜72時間でも改善する場合があります。
カンナビス耐性をリセットする方法
1. T-Breakを取る
目標や使用頻度に合わせて期間を決めましょう。
短期(2〜5日):ライトユーザー向け
中期(7〜14日):日常的に使う人向け
長期(21〜30日以上):ヘビーユーザー向け
休止中は一時的に「イライラ・不眠・気分の変動」が出ることもありますが、数日で落ち着きます。
2. THCを減らしCBDを増やす
CBDはCB1受容体に直接作用せず、THCの過剰刺激を和らげる働きがあります。CBD優勢の製品に切り替えることで、ECSをサポートしながら耐性をリセットできます。
3. 摂取方法を変える
喫煙からエディブルへ
高THCベイプから低THC+CBDチンキへ
異なる摂取方法に変えることで、受容体の疲労を防ぎやすくなります。
まとめ:耐性は自然な反応。でもコントロールできる
カンナビス耐性は「体がバランスを取ろうとする自然な仕組み」です。効きにくさを感じたときは、体からのサインと考えましょう。
定期的にT-Breakを取る
低THCやCBD製品を試す
摂取方法を工夫する
これらを取り入れれば、効率的で健やかなカンナビスライフを長く楽しめます。
🔻カンナビス耐性のリセット(Tブレイク)は多くの人にとって有効ですが、メンタルヘルスに課題を抱えている方は注意が必要です。普段からカンナビスを心の安定のために使っている場合、急にやめてしまうと気分の落ち込みや不眠、不安感が強まり、うつ症状が悪化するリスクがあります。これは「離脱症状」の一部として珍しいことではありません。そのため、精神的に不安定な方がTブレイクを行う際には、いきなり断つのではなく段階的に使用量を減らすことが大切です。たとえば、1日の使用回数を減らしたり、高THCから低THCやCBD優勢の製品に切り替えるといった方法があります。また、CBDを併用することで不安やイライラを和らげ、スムーズな移行をサポートできます。さらに、Tブレイク中は睡眠・食事・運動を整えることが重要で、軽いストレッチや散歩、バランスの良い食事を心がけることで不快感をやわらげられます。そして、不安が強いときは一人で抱え込まず、信頼できる友人や家族、あるいはメンタルヘルスの専門家に相談しながら進めることが安全です。メンタルヘルスに課題を抱えてる方へのTブレイクは処方箋を併用するなどある一定のエビデンスはあるものの確立されたものではありません。カンナビス耐性は誰にでも起こり得る自然な現象ですが、自分の心身の状態に合わせた無理のないTブレイクを行うことで、より健やかで持続可能なカンナビスライフを実現できます。
Reference:
Kanab. (2025, April 15). The Science of Cannabis Tolerance: Why It Happens and How to Reset It. Kanab. https://kanab.ca/the-science-of-cannabis-tolerance-why-it-happens-and-how-to-reset-it/