2025/10/16 00:00

生涯にわたる大麻使用と認知機能低下の関連を否定

大麻が「脳に悪い」「IQが下がる」という古いイメージを覆す研究結果が発表されました。
2024年11月、学術誌『Brain and Behavior』に掲載されたデンマークの研究によると、大麻使用は長期的なIQの低下と関連しないことが明らかになりました。


5,162人を44年間追跡した大規模研究

デンマークの研究チームは5,162人の男性を対象に**青年期(平均22歳)中年期(平均62歳)**のIQを比較しました。
結果、大麻を使用していたグループの方が非使用者よりもIQの低下が少なかったことが判明。

平均的なIQ低下は44年間で6.2ポイントでしたが、
大麻使用者は1.3ポイント少ない低下にとどまりました。

さらに、「使用開始年齢」や「使用頻度」も認知機能の低下とは関係がなかったと報告されています。


研究者の結論:「大麻使用はIQに影響しない」

研究チームは次のように結論づけています。

「本研究の結果は既存の多くの研究と一致しており、大麻使用と認知機能低下との間に明確な関連は認められない
頻繁な使用であっても長期的なIQ変化への悪影響は確認できなかった。」

つまり、大麻が長期間にわたり脳機能を損なうという科学的証拠は見つからなかったのです。


NORML副代表のコメント:「古いステレオタイプを打ち破る」

米国NORMLの副代表ポール・アルメンタノ氏は次のようにコメントしています。

「この結果は、“大麻を使うとバカになる”という根強いステレオタイプを覆すものです。
メディアではこうした偏見が放置されがちですが実際の科学はそれを裏付けていません。」


過去の研究でも一致する結果

今回の研究だけでなく過去の複数の調査でも同様の結果が得られています。

  • イギリスの2000人を対象とした研究:15歳以前の大麻使用はIQや学業成績に影響なし。

  • 双子を対象とした研究:遺伝や環境要因を除いても、大麻使用とIQ低下に因果関係なし。

  • JAMA Psychiatryレビュー(2020):72時間以上の禁煙で一時的な認知影響は消失。

これらの研究は一貫して大麻によるIQ低下のエビデンスが乏しいことを示しています。


一時的な影響と長期的な影響の違い

確かに一時的に集中力や記憶力が低下することは報告されていますが、それは使用直後の短期的な効果であり、長期的なIQ低下を引き起こす証拠はないとされています。
多くの専門家は「脳の恒常的なダメージは確認されていない」と述べています。




まとめ:科学が語る「大麻と脳の真実」

最新のデンマーク研究をはじめ、複数の長期データが示すのは次の事実です。

  • 大麻使用者の方がむしろIQ低下が少ない傾向がある

  • 使用開始年齢や頻度も認知機能の衰えに影響しない

  • 一時的な記憶力低下はあるが持続的な脳機能の損傷は確認されていない

これらのデータは医療大麻やCBD製品の研究においても重要な基礎となりつつあります。
「大麻=脳に悪い」というステレオタイプを見直す時期が来ているのかもしれません。


🔻これまで日本では、「大麻を使うと頭が悪くなる」「幻覚を見る」「精神に異常をきたす」といったネガティブなイメージが長年にわたって広められてきました。しかし、海外の最新研究によって、これらの多くが科学的根拠に乏しい誤解だったことが明らかになりつつあります。今回紹介したデンマークの大規模研究では、大麻を使用してもIQが低下しないどころか、非使用者よりも低下が少ないという結果が示されました。つまり、「大麻が脳を壊す」という従来の主張は科学的に支持されていません。それでもなお、政府の古い情報を鵜呑みにし、大麻を否定することで他者を攻撃する人もいます。

しかしその行為は、難治性疾患に苦しむ患者が医療大麻という選択肢を持つ機会を奪うことにつながりかねません。こう言ったことを引き起こさない為にも現代のアップデートされた大麻の知識を政府やメディアが正しく伝えていくことにより医療大麻の第一歩がより早く踏み出せるようになると私は思います。


Reference:NORML. (2024, November 15). Study: Cannabis use not associated with later IQ decline. NORML. https://norml.org/blog/2024/11/15/study-cannabis-use-not-associated-with-later-iq-decline/