2025/11/19 21:16

糖尿病性神経障害(Diabetic Neuropathy)は、糖尿病患者の多くが悩まされる慢性的な痛みの代表例です。

近年、THC・CBD・CBNなどの“植物由来カンナビノイド”が痛みの緩和に役立つ可能性が注目されていますが、2024年12月にタイで行われた第Ⅲ相臨床試験で、驚くべき成果が示されました。

この記事では、THC・CBD・CBNを含む経皮(皮膚貼付)オイルが痛みをどれほど軽減したのかを、最新研究にもとづいて分かりやすく解説します。


✔ この記事でわかること

  • THC・CBD・CBNの“経皮投与”が痛みに効く理由

  • タイで行われた100名規模の臨床試験の結果

  • なぜ糖尿病性神経障害にカンナビノイドが有望なのか

  • 安全性(副作用)がどうだったか

  • これまでの研究との比較


🔍 タイで実施された臨床試験の概要

■ 研究デザイン

  • 場所:タイ・コンケン大学

  • 対象:糖尿病性神経障害(下肢)の患者 100名

  • 試験期間:12週間

  • 方式:ランダム化 / 二重盲検 / プラセボ対照(最も信頼性の高い形式)

■ 投与された成分(1滴あたり)

  • THC:3.20 mg

  • CBD:0.32 mg

  • CBN:0.65 mg

  • プラセボ:ココナッツオイル

この成分が配合された“経皮オイル”が、下肢に塗布されました。


📉 痛みスコアが「25.6 → 5.57」へ劇的に改善

研究で使われた指標は NPSI-T(神経障害性疼痛症状インベントリ)

■ 結果(12週間後)

  • 治療群:25.60 → 5.57(−約78%)

  • プラセボ群:25.24 → 22.85(ほぼ変化なし)

つまり、

カンナビノイド経皮オイルは、プラセボ(偽薬)に比べて圧倒的な鎮痛効果があった

と結論付けられています。

さらに、GEE解析(Generalized Estimating Equation)でも
4週目・8週目・12週目のすべてで有意な痛みの減少が確認。


🛡️ 副作用は「軽度」のみ|安全性プロファイルは優秀

臨床試験での副作用報告は…

  • カンナビノイド群:10%

  • プラセボ群:同程度

症状も「軽度」で、重篤な副作用はゼロ。

👉 非常に安全性が高い製剤であることが示されました。


🌿 なぜカンナビノイドが神経障害性疼痛に効くのか?

糖尿病性神経障害は、神経の炎症・損傷が原因で激しい痛みが発生します。

THC / CBD / CBN には以下のような作用が報告されています:

■ THC

  • 痛覚信号を抑制(CB1受容体作用)

  • 神経の過剰興奮を鎮める

■ CBD

  • 抗炎症作用

  • 酸化ストレス(神経ダメージの原因)の軽減

  • エンドカンナビノイドシステム(ECS)の調整作用

■ CBN

  • 鎮痛・抗炎症作用

  • 神経保護効果の可能性

この“トリプル配合”が、神経障害性疼痛に特に相性が良いと考えられています。


🧪 過去の研究との比較

本研究以前にも、様々な形の大麻製剤が神経障害性疼痛を改善したという報告があります。

  • ヴェイプによるTHC吸入

  • CBDオイルの経口摂取

  • THCのエアロゾル吸入剤

いずれも痛みの軽減が報告されており、今回は 経皮(貼付)でも十分な効果があることを証明した点が大きなポイント。


📌 まとめ|経皮カンナビノイド製剤は糖尿病性神経障害の新しい治療選択肢になる

本研究が示したポイントをまとめると:

  • THC・CBD・CBN配合オイルが神経障害性疼痛を大幅に軽減

  • 痛みスコアは25.6 → 5.57

  • プラセボではほぼ改善なし

  • 副作用は“軽度”で安全性は高い

  • 経皮投与は患者の負担が少なく持続性が期待できる

👉 糖尿病性神経障害の新しい治療の選択肢として非常に有望

世界的にも今後、経皮タイプの医療用カンナビノイド製剤が増える可能性があります。

過去にパッチ療法の記事を読んだときは効果の強さに疑問を抱いていましたが、実際には“局所的にしっかり作用させられる治療手段”として非常に優れていると感じています。


🔻大麻といえばボングやパイプと使ってまたはジョイントを巻いて吸う、またオイルを摂取する、エディブルを食べるしか思い浮かばないです。しかしパッチを使った経皮でも十分効果があることがこの研究で判明し、新しい治療方法の一つとして期待されますね。過去にパッチ両方の記事を読んだときは効き目は弱いそうだなと感じていましたが、局所的にしっかりと作用させられる治療手段として非常に優れていると感じました。


Reference:

NORML. (2024, December 5). Clinical trial: Transdermal application of plant-derived cannabinoids significantly mitigates diabetic neuropathy. NORML. Retrieved from https://norml.org/news/2024/12/05/clinical-trial-transdermal-application-of-plant-derived-cannabinoids-significantly-mitigates-diabetic-neuropathy/